ブラックリング

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ブラックの指輪
教授になった高校の恩師曰く、昔とちがって今の学生は精神的に問題を抱えている者が少なくないと言う。
そして、学生は自分から将来やりたいことを探せないでいる。昔はいったん道を逸れるような者も結局なんとかなっていたらしい。
けれど今の子は違うのだそうで、入試までひたすら勉強し目的を達成し、その後の人生を切り開こうとするすべを持たないらしい。
「大学を辞めたい。これ以上通ってもつまらないからもう辞める」と言いに来るらしい。
大学の教員というのは、その道のスペシャリストではあるが、社会の中で揉まれておらず、好きなことばっかり追求して道を極めた人。
だからそんな学生のトラブルに向き合うこともできない。先生曰く、コドモがそのまま大人になったようなひとが教授に多いらしい。
そこで出番となるのが我が恩師で、会社勤めや中学や高校の教諭あがりの社会経験の豊富な先生のお役目となる。
退学のための書類を書けと言われても退学後の進路も無い、答えのない問いに書類を書けないと返事した結果、いつしか
その恩師のところに学生が入り浸るようになったそうだ。勉強というスケジュール、運動もたくさんしたけれど、さあ好きな時間に使いなさいと言って自由の中に放り出されたとき何をしたいかどうしていいかを知らない子たちがいるのだろうか。
カテゴリーから自由な立場になれば、いつまでもどこまでもサボれる。自分を自分で管理しなくては生きて行けない。
期待され、それに応えることに長けて管理されて育ったひとというのは、
なかなかこういう問題を抱えやすいのかもしれない。